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0008 米国発の労働安全衛生講習・ハートセイバー血液媒介病原体コース

血液感染と聞くと、きっと皆さんは医療機関や救急隊の活動現場での出来事と思われることでしょう。

また、応急手当を学んだ方であれば、「感染を防止するため、血液に直接触れない」と講習で説明されたことを覚えていらっしゃることでしょう。

血液を介して感染する病原体には、B型/C型肝炎ウイルスやHIVなど、ときに死に至る病気を引き起こすものもあり、医療の現場においては「すべての血液は感染のおそれがある」と考え、普遍的予防策=ユニバーサルプリコーション(そしてその発展形である標準予防策=スタンダードプリコーション)が実践されています。

では、血液感染のおそれは本当に医療機関や救急救助の現場だけにあるものでしょうか?

▼血液や体液、嘔吐したものが付着した床を掃除する清掃職員や鉄道職員

▼入居者の汚物などを処理する介護職員や、子どもの汚物などを処理する保育士

▼出血の手当にあたるスポーツトレーナー

▼血液が付着したサンドバッグやリングを使用する格闘技関係者

▼客のひげを剃る理容師

▼客にタトゥーを施術するタトゥーアーティスト

▼遺体を取り扱う葬祭業関係者

▼研究・検査機関の関係者

▼傷害事件の対応にあたる警察官や警備員

これ以外にも、血液や血液が含まれている物質に触れる可能性がある職種はさまざま。 しかし、十分な感染防止対策が行われているとは言い難いでしょう。 血液に触れる職種への研修が義務付けられている米国

米国では、労働安全衛生局(Occupational Safety and Health Administration:OSHA)の基準により、血液や血液が含まれている物質に触れる可能性があるすべての職種に対し、所定の内容を満たした研修を年1回行うよう義務付けています。 リンク

OSHA 1910.1030 Bloodborne pathogens

https://www.osha.gov/laws-regs/regulations/standardnumber/1910/1910.1030

この基準は、事業主に対し血液被曝予防計画の策定を義務付けるとともに、そこで定めた各種対策を事業所内で履行し、従業員への研修や管理を通じて職場における血液被曝事故を防止することを目的としています。

OSHAの基準は他にも、事業所における心肺蘇生やファーストエイドのトレーニング、ファーストエイドキットの中身(種類やサイズなど)まで定めており、日本の労働安全衛生法規とは一線を画しています。 リンク

OSHA Medical and First Aid https://www.osha.gov/SLTC/medicalfirstaid/

OSHAの基準に基づく「ハートセイバーコース」

日本でAHAの講習というと、医療従事者を対象としたBLSやACLSがよく知られていますが、米国ではOSHAの規則に対応したハートセイバーコースも広く展開されています。

日本におけるAHA講習の説明において、ハートセイバーコースが「一般市民向け」と記載されていることがありますが、OSHA基準に対応するこれらの講習は、完全な一般市民(善意で救助を行う立場)向けではなく、職場における傷病者発生時に対応の義務がある労働者向けのものであり、事業所における有資格者の配置義務などがOSHA基準で定められています。

ハートセイバーコースのうち、心肺蘇生を学ぶ「CPR AEDコース」や、幅広いファーストエイドを学ぶ「ファーストエイドコース」は現在公式日本語教材も存在し、国内のいくつかの講習団体でコースが開催されています。 他方で、OSHA基準に基づく血液感染対策研修として創設された「ハートセイバー血液媒介病原体コース」(Heartsaver Bloodborne Pathogens:BBP)は米国の労働者以外が受講する法的義務がないからか公式日本語教材は存在していませんが、コース内で取り扱う内容は日本の労働者にとってもたいへん有益なものとなっています。

血液媒介病原体コースの内容

このコースでは、難しそうに感じる血液感染対策を「PACT」というアクロニムに基づき、わかりやすく学びます。

まずは適切に自身の身体をProtect(防護)すること。

もし血液に触れてしまった場合は、すばやくAct(行動)して感染が成立する可能性を低減させる。

さらに、他者へ危険が及ばないよう正しい手順でClean(掃除)し、病原体が拡散するリスクを減らす。

また、不幸にも血液被曝した場合に、その後の検査や治療、労災認定を受けるために、正しくTell(報告)する。 これらの方法をハートセイバー血液媒介病原体コースで学ぶことができます。

血液に触れないように、手袋などを着用する。

これは様々な救命講習で触れることですが、ではその正しい外し方を練習したことはあるでしょうか? 手袋以外にも、マスクやゴーグル、キャップ、ガウンなどさまざまな個人用保護具がありますが、着用するのは簡単でも、難しいのは外し方。外す際の行動や処分の方法が不適切だと、ここで感染を引き起こしてしまいますし、その後の手洗いが不適切でも感染リスクが高まります。

いま世を騒がせている感染症の予防に関しても、手洗いやマスク着用などが謳われていますが、手洗いやマスク着用の正しい方法を学んだことはあるでしょうか?

どれだけ良い道具等があっても、使用法が間違っていては効果はありません。

また、血液が付着した箇所の掃除の方法も意外と知られていないもの。

例えば施設の床面に血液や血液が含まれる物質が付着している際、最初からアルコールを吹きかけてふき取ろうとする光景を見かけることがありますが、この方法では血液をかえって拡散させるばかりか、血液を固着させ、除去・洗浄を困難にします。 簡単にみえて意外と知られていない血液感染対策。

日本でも労働安全衛生管理の一環として、もっともっと普及すべき分野でしょう。

外傷救護に血液感染対策は欠かせない

近年、軍用止血帯(ターニケット)の普及等により、止血法が着目されるようになりました。医療の専門家や消防隊員等のファーストレスポンダー以外にも、ミリタリー分野に興味がある一般市民等が外傷救護を学ぼうとする機会が以前に比べずいぶん増えたように感じます。一部団体の市民向け救急法講習でも、ターニケットが取り上げられるようになりました。 ターニケットが必要なほどの大出血がある傷病者を救護するのであれば、血液感染対策は切っても切れないもの。ここを抜きにして外傷救護を語ることはできないでしょう。


一般市民がテロ事案の現場等で救護にあたることの適否等はここでは触れませんが、血液感染対策の知識なくして外傷救護の方法のみを学ぼうとするのはナンセンス。

自身の安全なくして救助に着手してはならない。講習の冒頭で教授することですが、血液感染という大きなリスクを無視してその後救護の手技のみ練習が進んでいくのは、いかがなものでしょうか。

2008年の秋葉原通り魔事件においても、B型肝炎に感染している傷病者がいたことがわかり、後日、救助にあたったバイスタンダーに対し検査を受けるよう広報がなされました。

血液感染は教科書上の話ではなく、救助者を襲う現実的危険のひとつなのです。

血液感染対策を日本の労働者にも広めるために

警備や介護、保育など、傷病者対応の職責がある市民(非医療従事者)のスキルアップを主たる使命としAHAコース等を展開するブレイブハートNAGOYAとしては、このハートセイバー血液媒介病原体コースを開催しないわけにはいきません。


公式教材(テキスト及び映像)は英語版しかありませんが、ブレイブハートNAGOYAでは日本語補助教材を作成。受講頂く皆様に提供して同コースを開催しています。

このコースを受講して知識を身に付けた方がそれらを職場に持ち帰り、自身の職場に応じた対策とシステムを構築する。それにより我が国の安全が高まることを願っています。

次回のこのコースは4月18日(土)に名古屋市公会堂にて。

業務対応者向け心肺蘇生講習であるハートセイバーCPR AEDコース(成人・小児)と、血液媒介病原体コースを一括して開催します。

救助者自身と周囲の人の身を守り、そのうえで傷病者を守る方法を考えてみませんか。

詳細やお申込みは、ブレイブハートNAGOYAのウェブサイトからどうぞ。

ブレイブハートNAGOYAウェブサイト:https://www.qq-bh758.com/

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